Sandbox、スタッフ約半数削減と海外5拠点閉鎖──Base上のメモコインローンチパッドへ事業転換

メタバース大手The Sandboxが、親会社Animoca Brandsの主導で大規模な事業再編に入った。スタッフ250名のうち約半数を解雇、海外5拠点(アルゼンチン、ウルグアイ、韓国、タイ、トルコ)を閉鎖し、共同創業者のSébastien BorgetとArthur Madridは経営の第一線から退く。あわせて、新たな収益軸としてBase上でのメモコインローンチパッド構築が進んでいることが報じられた。本稿では再編の中身と、メタバースという長期事業から短期回転型インフラへ軸足を移すという経営判断の意味を整理する。

再編の骨子は「人員半減」と「拠点5カ所閉鎖」

公表されている再編内容は次の通りだ。

1. 人員削減。 スタッフ250名のうち約半数を解雇。Sandboxの主要プロダクト開発・運営チームの規模は半分以下になる。

2. 海外拠点の閉鎖。 アルゼンチン、ウルグアイ、韓国、タイ、トルコの5拠点を閉鎖。アジア・中南米でのローカル展開は事実上縮小する。

3. 創業者の役職変更。 Sébastien BorgetとArthur Madridはそれぞれ「グローバル・アンバサダー」と「会長」という、名誉職的な役職に移行。日常の経営判断からは退く形となった。

公式の説明は「AIによる開発効率化で少人数運営に切り替える戦略的転換」。創業者退任のネガティブインパクトを最小化するため、ブランドアンバサダーとして残す形を選んだ意図が透ける構成だ。

評価額は40億ドルから10億ドルへ、ピーク比75%超のダウン

数字で見ると、The Sandboxの評価額は2022年の40億ドルから2024年に10億ドルへ後退している。今回の再編後の実態価値は明示されていないが、関係者筋では「半分以下」との見方も出ており、狂騒のピークから実質的に75%以上の評価ダウンとなる。

ピーク時のLAND取引額は現在の30倍超だった。コアユーザー層が想定より定着しなかった背景には、ゲーム性以前にUXの問題が大きい。ブラウザを立ち上げて30秒待つ世界に、Robloxユーザーが移ってこなかったという構造は、Web3メタバース全体に共通する課題でもある。

DecentralandはGenesis Cityの改修やデスクトップクライアント刷新を進め、Metaverse Fashion Week 2026も継続する形でプラットフォーム軸を維持しているが、Robloxは依然として日次アクティブユーザーで桁違いの規模を保っており、「ブロックチェーン要素のないメタバース」との競争で苦戦する構図は変わらない。

新規軸は「Base上のメモコインローンチパッド」

公式説明の裏で進んでいる事業転換のもう一つの柱が、Base上でのメモコインローンチパッド構築だ。Pump.funにインスパイアされた設計、と報じられている。

これが意味するのは、メタバースという長期プラットフォーム事業から、短期回転型の投機インフラへの軸足移動である。LAND販売やコンテンツ収益という時間軸の長いビジネスから、メモコインの発行・取引手数料という短期回転モデルへ重心を移す形だ。

経営判断としては合理的な側面もある。Animoca Brandsは香港でのIPOを準備中とされており、Sandboxが保有する1〜3億ドル規模の暗号資産treasuryを「投資家へのアピール材料」として位置づける思惑があるとも言われる。短期的に手数料収益が立つメモコインローンチパッドは、IPO直前の業績テコ入れ策としては理に適う。

ただし初期からSandboxを支えたクリエイターコミュニティから見れば、「裏切り」と受け止められる余地がある。LANDを買い、コンテンツを作り、長期的な仮想空間経済の成立を期待してきた層と、メモコイン投機家の利害は重ならない。

SANDトークン保有者にとっての含意

SANDトークンは2026年5月時点で、国内取引所ではCoincheckが取り扱っている(各自で要確認)。今回の再編で短期的にトークン価格は不安定化が予想される一方、Treasury管理のため大量売却の可能性は低い、と公式は否定している。

判断は信念に依存する部分が大きい。「メタバースの長期可能性に賭ける」立場ならホールド継続もあり得るし、「AI軸への撤退とメモコインへの軸足移動は実質的な事業転換」と見るなら整理も合理的だ。少なくとも、2021〜2022年に語られた「3D仮想空間で経済が回る」というオリジナルのSandbox像とは、別物のプロダクトになりつつある点は押さえておきたい。

LAND保有者にとって、新規開発体制が薄くなる以上、新規イベントや限定LANDの供給ペースは落ちる可能性が高い。一方でTreasury維持の制約から、LAND自体の価値ゼロ化は当面起きにくいという見方もある。

メタバースは死んだ、という言い方はやや派手すぎる。ただ「LANDを買って値上がりを待つ」モデルはほぼ機能停止と認めていい段階に入った、というのが今回の再編が示すメッセージだ。

出典: 公開報道に基づく(2026年5月時点)

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