SAND一週間で+27%──GameFiは「冬」を抜けたのか、それとも罠か

GameFiはもう終わった。2024年からそう言われ続けてきた。NFTの取引高は前年比で半減、Foundationのような老舗マーケットすら畳む始末。冬は長かった。ところが、だ。ここ数日のチャートを眺めていると、その断定がちょっと早かったかもしれない、と思わせる動きが出ている。

The Sandbox(SAND)が直近7日で約27%、24時間でも9%近く上げた。Axie Infinityも反発。セクター全体がまだ重いなかで、ゲーム特化チェーンの一部だけ数字が静かに上向き始めている。これは久しぶりの光景だ。

まず疑う——「ただの戻り」ではないのか

最初に水を差しておく。一週間で27%という上げ幅は、裏を返せばそれだけ売られていた証拠でもある。底値からの反発は、しばしば「本物の回復」と「ショートカバーの花火」を見分けにくい。私は基本、GameFi相場には懐疑的だ。DAU(デイリーアクティブユーザー)が伴わない価格上昇は、2021年のSTEPNが見せた急騰と急落をどうしても思い出させる。

だから問うべきは値動きそのものではない。「今回は中身が違うのか」だ。

SANDchain構想と「20万ウォレットの署名」

The Sandboxは、Web3ネイティブのクリエイター向けに設計した独自ネットワーク「SANDchain」の構想を更新した。SANDの役割をゲーム内通貨の枠から、創作活動全般を支えるトークンへ広げる狙いだ。1月時点で20万を超えるウォレットが、この構想を支持するマニフェストに署名したという。

加えて2026年は、各シーズンの体験の50%超をコミュニティ制作のUGCで賄うと明言している。運営が中央でコンテンツを供給する従来型から、創作の主導権をユーザーへ渡す方向への舵切りだ。Unreal Engine 5を使ったモバイル版のストレステストも進む。価格より、この「作り手を増やす」設計のほうに私は注目している。

IMXの完全アンロックが意味すること

もう一つ見逃せないのがImmutable(IMX)だ。主要なゲーム系トークンのなかで、IMXは初めて完全アンロックに到達した。つまり、新規発行による供給インフレがもう起きない状態に入った。

これは地味だが効く。GameFiトークンが暴落しがちだった一因は、運営やアーリー投資家への割当が時間差で市場に流れ込む「アンロック圧」だった。供給の蛇口が閉じれば、需要側の物語だけで価格が動く。健全化の入口、と呼んでいい。Gods UnchainedやGuild of Guardiansを擁するEthereum系ゲームのL2として、Immutableの存在感はじわじわ増している。

「GameFi 2.0」は言葉倒れに終わらないか

業界では「GameFi 2.0」という看板が掲げられている。トークン経済を主役にした第一世代への反省から、まずゲームとして面白いか、を起点に据え直す動きだ。AIによる個性あるNPC、手続き的なコンテンツ生成、予測分析——道具立ては揃ってきた。

ただ、看板の掛け替えは何度も見てきた。Play-to-Earnが廃れてPlay-and-Earnになり、今度は2.0。言葉が回るスピードに、実際に遊ばれているゲームの数が追いついているかは別問題だ。ここは厳しめに見ておきたい。

それでも、一つだけ前回と違う兆しがある。資金の出し手が「トークンの値上がり」ではなく「面白いゲームが続くかどうか」を口にし始めたことだ。スタジオの語り口が、トークノミクスからゲームデザインへ静かに移っている。投資家向け資料より、プレイヤー向けのアップデートのほうが厚い。小さな変化だが、過去の熱狂期には見られなかった景色ではある。

日本のプレイヤーにとっての「距離感」

ここで国内の事情を一つ。SANDやAXS、IMXといったゲーム系トークンは、国内取引所での取り扱いが限られる。だから日本のユーザーがこの波に乗ろうとすると、たいていはまずETHを手に入れ、自分のウォレットに移し、そこからゲームやマーケットに接続する、という二段構えになる。海外取引所に直行する手もあるが、無登録業者をめぐる法的リスクを思えば、私はそこを薦めない。

この「距離」を面倒と見るか、クッションと見るか。個人的には後者だ。ワンクッション挟むぶん、勢いだけで全財産を新興トークンに突っ込む、という最悪の事故が起きにくい。GameFiの熱狂期に退場していった人の多くは、入口の手軽さに足をすくわれた。少し手間がかかるくらいが、ちょうどいい。

そして判断材料は、結局のところ価格ではない。見るべきはDAUと、ゲームの中で実際にお金が回っているかだ。トークンが上がっても誰も遊んでいなければ、それは投機の数字でしかない。逆に、地味でも遊ぶ人が増え続けるタイトルがあれば、そちらのほうが長い目では信用できる。数字の派手さより、継続率。ここを外すと、また同じ轍を踏む。

締め——触れておくなら、入口はETHから

結論。GameFiの底打ちを断言するのは早い。けれど、供給インフレの解消(IMX)とUGC主導への転換(SAND)という構造変化は、過去の反発局面にはなかった材料だ。少なくとも「中身が違うかもしれない」とは言える。

これらの世界に実際に触れてみたいなら、入口はたいていEthereumだ。NFTの購入もメタバース内の決済も、ETHを軸に回ることが多い。NFTマーケットを併設し、ETHを買って自分のウォレットへ送る流れがシンプルなCoincheckは、最初の一歩として扱いやすい。手数料を抑えて少額からETHを刻みたいなら、取引コストの低いbitbankという選択肢もある。焦って大金を入れる場面ではない。冬が明けたかどうかは、次の四半期のDAUが教えてくれる。


※本記事は情報提供を目的としたものであり、特定の暗号資産や投資商品の購入を推奨するものではありません。投資は自己責任で行ってください。過去の実績は将来の利益を保証するものではありません。

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