2026年4月末、NFT全体の総時価総額が約2年ぶりに2B(20億ドル)台を回復した。CoinDeskほか各種マーケット集計を横断すると、市場全体は1か月で+54%、立役者はBored Ape Yacht Club(BAYC)とPudgy Penguinsの2銘柄だ。BAYCのフロア価格は5ETHから10ETH強へ、Pudgy Penguinsも5ETH台へ戻した。──ただし、「枚数は伸びていないのに、1枚あたりの価格だけが戻る」といういびつな回復であり、見出し通りの「NFT夏再来」と読むのは早い。本稿では復活の中身と、国内ユーザーが入口を設計するうえでの実務的な構え方を整理する。
復活の数字と「薄い参加者層」
NFT総時価が2Bに戻ったとはいえ、出来高そのものは縮小傾向にある。Ethereum NFTのアクティブウォレット数は2月から倍増して約3万に達したが、絶対値で見れば「3万人」という規模感だ。──数字上は復活、ただし参加者の層は依然として薄い。
Yuga LabsのMichael Figge CEOは「価格と保有者の活動が、長期下落のなかで切り離されていた」と発言している。要するに、価格は崩れていてもファン層は静かに残っており、マクロ追い風と相まって一気に値が戻った、という構造だ。
この「枚数縮小×単価戻し」の組み合わせは、2022年後半のSTEPN周辺の値動きと表面的によく似ている。ボリュームの伴わない価格戻しは方向感が変わりやすいので、出来高シグナルを基準にする従来の売買手法は効きにくい局面、と見ておきたい。
BAYC約2倍は「リスク許容度回復」のサイン
Bored Apeは直近1か月で約+100%。2026年のクリプトサイクルでは珍しい挙動で、「投資家がリスクオンに戻った合図」と読む向きが多い。
ただ、これはNFT固有の話というより、マクロの副産物の側面が強い。BTC現物ETFには5月初週、9営業日連続で約2.7Bの純流入が観測されている。NFTはリスク資産階段のだいぶ上のほうに位置するため、お金が下から押し上げてくれば自然に持ち上がる構造だ。BAYC単独のファンダ強化があったわけではない。
2021年のNFTバブルとの違いは、今回はステーブルコイン経由のオンチェーン資金が前提になっている点。決済導線と出口戦略を含め、地味だが設計はだいぶスマートになっている。「過熱→崩壊」のサイクルというより、「お金が満ちてきた→上の階まで届いた」という構造変化として捉えるのが妥当だろう。
マーケットプレイス層はまだ淘汰の途中
NFT復活の見出しの裏で、マーケットプレイス層は再編が続いている。OpenSeaが復活軌道に乗りつつある一方、Foundationは2026年4月に閉鎖を発表した(Blackdoveによる買収が不成立に終わった)。
「いまアクティブな場」と「数か月後にも残っている場」は同じとは限らない、というのが現時点の正直な見立てだ。NFTを買う場合、預けっぱなしの長期保管はマーケットプレイスのウォレットではなく、自分のウォレット(MetaMaskなど)に引き上げておくのが基本的な構えになる。
国内ユーザーの入口設計
NFTを買いに行く場合、入口の通貨はEthereumがもっとも素直だ。国内取引所で言えば、Coincheckは自社でNFTマーケットを保有しており、ETHを買ってMetaMaskへ送る流れがアプリ内導線として分かりやすい。NFT初心者がいちばんつまずきにくいのは、この導線設計だ。
ETH中心で複数銘柄を低コストに動かしたい場合は、手数料無料のGMOコイン経由が現実的な選択肢になる。──「とりあえずETHを国内取引所で買い、自分のウォレットに薄く分散しておく」というのが、いまの局面ではいちばん地味で堅い構え方と言える。
なお、PENGUのようなNFTバックド・トークンの直接購入は国内取引所では基本的に取り扱いがない。情報として知っておく対象と割り切り、現物のリスクは国内取扱メジャー(BTC/ETH/SOL)で取りにいくほうが、税務上もシンプルだ。
「NFT2B」の見出しに乗らない
NFT市場の2B回復は、見出しだけ見ると派手に映る。だが、出来高ベースだと「縮小しながらの価格戻し」であり、参加者層はまだ薄い。マクロ追い風に押し上げられた構造である以上、ETFフロー鈍化や金利見通しの変化で逆回転するリスクは同居している。
NFTを買い直すなら、まずは国内取引所でETHを薄く分割で買い、自分のウォレットに送る流れから慣れておくのが現実的だ。一度に大きく張る局面ではない。
出典: CoinDesk、各種NFTマーケット集計、Yuga Labs公式コメント
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