Ronin Networkは2026年5月12日、独立サイドチェーンとしての運営を停止し、Optimism系のOP Stackを採用したEthereum Layer 2 として再起動した。約10時間の計画停止を伴う、ネットワーク史上もっとも大きなアーキテクチャ変更だ。GameFi時代の象徴的存在だった「自前ゲームチェーン」が、Ethereumエコシステムに合流したことになる。
9バリデータ権威証明型からEthereum継承型へ
旧Roninは9バリデータの権威証明(Proof of Authority)型で運営されていた。この構造は2022年、Lazarus Groupによる6.25億ドル相当の流出事件の温床になったことでも知られる。少数バリデータへの権限集中が、攻撃面を広げていた。
今回の移行で、ネットワークはEthereum本体のセキュリティを「借りる」構造に変わる。トランザクションの最終的な検証はEthereum L1に委ねられ、データ可用性レイヤーには EigenDA が採用された。低手数料と高スループットを維持しつつ、独立サイドチェーン時代の単独運用リスクから抜け出した格好だ。
OP Stack採用で「L2陣営の主戦場」が一段はっきり
採用された OP Stack は、Coinbaseの Base が走っているのと同じ技術スタックだ。Axie Infinity陣営の中核であるRoninがここに乗ってきたことで、ゲーミング系L2の主戦場が「OP Stack vs その他」の構図へさらに寄った形になる。
ImmutableやPolygon Gaming Hubも、独自ロジックは個別チューニングしつつ、共通EVM上で動かす方向に寄せている。Roninの今回の選択は、その流れの「最後の駒」が動いた局面と読める。
独立チェーン路線が直面していた2つの壁
なぜ自前チェーン路線を畳む必要があったのか。背景には、独立チェーン特有の2つの壁がある。
ひとつは流動性の問題だ。Roninに閉じた経済圏は、外部のステーブルコインやブルーチップNFTが入ってきづらく、ゲーム内資産の換金性が常に薄かった。「Axieで稼いでも結局換金しづらい」という不満は、過去のGameFiブーム以降、繰り返し指摘されてきた論点だ。
もうひとつは開発者プールの問題だ。Ronin独自のツールチェーンを学ぶ動機が薄く、L2の共通EVMに乗っているプロジェクトのほうが、はるかに人材を集めやすい。チェーンを「自前で持つコスト」が、エコシステム全体で見て割に合わなくなってきていた。
国内投資家から見たETH建ての意味
Roninの移行で、Ethereum L2全体のゲーミングTVLは押し上げられる方向に動きやすい。RoninはDappRadarのゲームチェーン別アクティブウォレット指標で上位常連で、その活動がL2スコアに加算されるイメージで考えるとよい。
L2への資産移動はETHを起点にすることが圧倒的に多く、国内投資家から見ると、ETH現物を国内取引所で押さえておくことの実用価値が一段上がった局面と言える。板の厚さと流動性を重視するなら bitFlyer が扱いやすく、アプリで完結させたい初心者には Coincheck が現実的だ。Coincheckは国内主要4社のうち唯一NFTマーケットを併設しており、ETH購入からNFT取引までの導線が短いという特徴がある。
ハイブリッド型ゲームチェーンへの転換点
Roninのこの選択は、GameFiの構造的な転換点になる可能性が高い。自前チェーンで囲い込み、独自トークンを発行して経済を回す「2021年型」のモデルが、技術面・経済面の両方で曲がり角に来ていることをはっきり示した。
代わりに来るのは、Ethereum L2に乗りつつ、ゲーム固有の体験や報酬設計は別レイヤーで実装するハイブリッド型だ。Immutable、Polygon、そして今回のRonin──主要プレイヤーが揃ってこの方向に動いたという事実は、もはや一時的な揺り戻しでは説明できない段階に入っている。
次の論点は、シーケンサ収益と既存ホルダー還元のバランスをどう設計するかになるだろう。ここを上手くまとめたゲームチェーンが、次の数年の流動性ハブになる構図だ。
出典: Ronin Network 公式アナウンス(2026年5月12日)
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