クリプトトレーディング企業Caladanが2026年4月23日に公表したレポートは、Web3ゲーム業界にとって極めて厳しい数字を並べた。Coda Labsと共同で実施した調査によれば、業界に流入した約150億ドルの資金の末に、約93%のGameFiプロジェクトが実質的に機能停止状態にあるという。先週話題になったSandboxの人員50%削減も、この潮流の一場面でしかない。本稿ではレポートの主要数字を分解し、何が起きたのかを整理する。
「93%機能停止」という数字の中身
レポートの主要な指標は次の通りだ。Web3ゲームのピーク期でも、暗号資産ゲームをプレイしたことのあるゲーマーは全体の約12%にとどまっていた。300以上のブロックチェーンゲームがすでにシャットダウン済み。トークン価値は2022年ピーク比で約95%下落。そしてスタジオへの資金供給は2025年に93%減少した。
これらの数字は連動している。投資家が資金を引き上げ、開発が止まり、トークン価格が崩れ、残ったプレイヤーが離脱する。という連鎖が一巡した結果が、今回の「93%機能停止」である。需要が消えたというよりも、もともと薄かった需要を、レバレッジで覆い隠していた、というのが現時点で適切な総括だ。
ピーク62.5%から1桁台へ──Web3ベンチャー投資配分の崩壊
レポートで筆者が最も重く受け止めたのは、ベンチャー投資の配分推移だ。2022年、Web3ベンチャー投資の62.5%がゲーミングに集中していた。それが2025年には1桁台%まで落ちている。
数字の桁が変わったわけではなく、配分そのものが構造的に再編されたことを意味する。投資家側が「ゲーミングは賭けに値するセクター」というコンセンサスを撤回した、ということだ。一度撤回された配分が短期間で元に戻る例は、暗号資産市場の歴史を見てもほとんどない。
Axie InfinityピークDAU270万人と、いまの2万人台
参考までに、Axie Infinityがピーク時に出した日次アクティブユーザー数は約270万人だった。これが「Play-to-Earn」というラベルで市場を席巻した2021年〜2022年の象徴的な数字だ。
一方、現時点でも一定のDAUを維持しているBig Timeは、4月時点で日次2万人前後という報告がある。両者を単純比較すれば100倍以上の差だが、性質は別物と捉えるべきだ。Axie期は「儲かるから来た」プレイヤーが大半で、トークン価格の下落とともに離脱した。現在残っているのは「面白いから来た」コア層という意味で、規模は小さくとも継続性は高い。
残ったプロジェクトの共通点は「トークンなしでも成立する設計」
Caladanレポートが「終焉」の証拠を並べる一方で、Big Time、Illuvium、Splinterlands、Alien Worlds、Wreck Leagueといった既存タイトルは、現時点でも一定のDAUを維持している。これらに共通するのは、トークンエコノミーを抜いてもゲームとして成立する設計に寄せたことだ。
ここから先のWeb3ゲームは、ゲーム性が主、トークンが従という順序で生き残る、というのが一つの読み筋になる。これは2021〜2022年のSTEPN型(歩いて稼ぐ、というメカニクス自体が稼ぎだった)からは構造的に違うものだ。トークン報酬がモチベーションの中核だった時代の手法は、もう市場側に受け入れられない。
レポートの位置づけ:終焉の宣告ではなく、整理の合図
「93%死亡」という見出しを受けて、Web3全体を見限るのは早計だ。レポートが示しているのは、業界に流入した150億ドルがほぼ無に帰したという現実認識と、ベンチャー資金が別セクターに移動したという配分の事実である。
この2つは「ゲーミングセクター固有の問題」であって、Web3そのもののインフラ層に対する評価は別軸で動いている。次のサイクルで残るプロジェクトの輪郭が、ようやく見えてきた段階だ、という整理が現時点では最も妥当に思える。レポートの真の価値は「終焉の確認」ではなく、「次に何を見るべきかの整理」にある。
※本記事は情報提供を目的としたものであり、特定の暗号資産や投資商品の購入を推奨するものではありません。投資は自己責任で行ってください。
出典: Caladan・Coda Labs共同調査レポート(2026年4月23日)
