Ethereumの次回ハードフォーク「Glamsterdam」が想定通り進めば、ガス代は最大78.6%カット、ガス上限は60M→200Mへと3.33倍に拡張される。これがNFTとGameFiの世界に何を持ち込むのか。「L1ではアクティブゲームは無理」「ミントはL2へ」というここ2年の前提が、年内に書き換わる余地が出てきている。本稿では、L1帰還シナリオの現実味と、戻りにくい領域・戻りやすい領域の見極めを整理する。
NFTマーケット──L1帰還の経済性が戻る可能性
NFTの一次販売とミントは、依然としてEthereum L1で行われるケースが多い。CryptoPunks、Pudgy Penguins、Miladyあたりのブルーチップは、L2移行をほぼしていない。L1の「ストック価値」が、L2の処理速度より重視されている領域だ。
ガス代78%カットが実現すれば、ミント直後の二次流通までL1で完結する経済性が戻る。これは2021〜2022年に当たり前だった「OpenSea上のEthereumベースで全部回す」感覚が、もう一段ベース水準で蘇ることを意味する。
OpenSeaが2025年にEthereum NFTのシェアを67%まで戻したのも、L1にコストが見合えば人は戻ってくる、という間接的な証左だ。Magic Edenのように撤退判断を急いだプロジェクトと、L1帰還を見据えて準備しているプロジェクトの差は、年内に数字で出てくると見ている。
GameFi──「L2脱出」の逆流シナリオ
GameFiは過去2年、L2やアプリ専用チェーンに逃げてきた。Ronin、Beam、ImmutableX。どれもL1ガスでは高頻度トランザクションが赤字になるのが理由だ。
200M gas、10,000 TPSが実現すれば、「中規模ゲームのオンチェーン処理をL1に置く」選択肢が再浮上してくる。Roninが先週Ethereum L2への移行を発表したのは、この流れの予兆としても読める。L1の処理能力が広がる方向に進めば、専用チェーンを維持するコスト合理性は薄くなる。
ただし全GameFiが戻るわけではない。リアルタイム性の極端に高いゲーム(MMO、FPS)は引き続き専用環境を必要とする。逆に、ターン制やコレクション系は、L1への帰還が現実的な選択肢になってくる。
2021年のSTEPN期、ガス高騰で「L1ではアクティブゲームは無理」というナラティブが定着した。その前提がGlamsterdam後にどこまで揺らぐかは、3〜6ヶ月のレンジで見えてくるはずだ。
クジラの蓄積──「未織り込み」の裏返しか
ETHの足元価格は冴えない。5月13日時点で2,255.88ドル、トップ10のなかで唯一の下落、技術指標は29対2でベアリッシュ寄りだ。だがここだけ切り取って判断するのは早い。
直近96時間でクジラウォレットが14万ETH(約3.22億ドル相当)を集めた、というオンチェーンデータが出ている。Glamsterdamを織り込みに行く動きかどうか、確定的なことは言えない。だが「偶然」と切り捨てるには大きい数字だ。
歴史的には、Ethereumの大型アップグレード前2〜3ヶ月の弱気→直前で反転、というパターンが3回続いている(Merge、Shanghai、Dencun)。今回も同じになるとは限らないが、過去の織り込みパターンは無視できない参照点だ。
実務的な準備──「経路を作っておく」段階
NFTやGameFiの利用を視野に入れているなら、ETHを国内取引所で確保し、MetaMaskへ送金する経路を事前に作っておくのが現実的だ。アップグレード後の動き出しから入金・実取引まで動こうとすると、数日のラグが入ることが多い。
NFTマーケット併設の国内取引所を経由しておくと、購入から送金までの線がシンプルにつながる。Coincheckのようにマーケット併設型を使うか、bitFlyerやGMOコインといった主要板で先にETHを確保しておくかは、用途に応じて選ぶ場面だ。
まとめ──前提の書き換えは静かに始まっている
Glamsterdamが予定通り進むかは、まだ確定していない。それでも、L1の処理能力が3倍になるという目標が開発者の正式議題に乗った事実は、すでに織り込み開始の対象だ。
NFTやGameFiが「L2でしか成立しない」という2024〜2025年型の前提は、年内後半に書き換わる可能性がある。短期の価格判断より、L1帰還シナリオが現実化するかどうかを継続観察するほうが、向こう半年のNFT・GameFi投資判断には効いてくるはずだ。
※本記事は情報提供を目的としたものであり、特定の暗号資産や投資商品の購入を推奨するものではありません。投資は自己責任で行ってください。過去の実績は将来の利益を保証するものではありません。記事内には広告(アフィリエイトリンク)を含む場合があります。
