Animoca Brands、2026年戦略をステーブルコインとRWAへ──GameFi比重は25%まで縮小

GameFi業界の最大スポンサーだったAnimoca Brandsが、2026年戦略の中核を「ステーブルコインとRWA(実物資産トークン化)」に据える方針を公式に発表した。Chief Strategy OfficerのKeyvan Peymani氏がCNBCに語った内容は、Web3ゲーム業界に対する事実上の方向転換宣言である。ポートフォリオに占めるゲーミングの比重は、すでに約25%まで縮小しているという。本稿ではAnimocaの戦略転換と、その背後にある業界構造の変化を整理する。

Animoca、ステーブルコイン合弁「Anchorpoint Financial」を組成

Animoca Brandsは2025年8月、Standard Chartered、香港テレコム(HKT)とともに、ステーブルコイン発行を狙う合弁会社「Anchorpoint Financial」を組成した。香港の金融規制下でのステーブルコイン事業を見据えた座組みであり、Animocaが本格的に決済インフラ領域へ踏み込んだ象徴的な動きだ。

Animocaはこれまで、The SandboxやAxie Infinityへの初期投資など、GameFi領域のスポンサーとしての顔が強かった。その同社が、金融ライセンスを持つグローバル銀行と組んでステーブルコイン発行体を立ち上げたことには、明確な戦略意図が読み取れる。トークン経済の重心が、ゲーム内ユーティリティから決済・金融インフラへ移った、という見立てだ。

2026年5月13日、ASEAN向けRWAインフラ「AWARP」に戦略投資

ステーブルコインに続くもう一つの軸が、RWA(実物資産トークン化)である。Animocaは2026年5月13日、ASEAN市場向けにRWAインフラを構築するAWARPに対して戦略投資を実施したと発表した。

ASEAN市場は、伝統金融資産のトークン化が制度面でも市場面でも進みやすい地域とされる。Animocaがこのタイミングで投資先として選んだことは、RWAセクターを2026年の主戦場の一つと位置付けたことを示している。ゲーミング投資の選別を厳しくする一方で、ステーブルコインとRWAには明確に資金を振り向ける、というポートフォリオ再構成が進んでいる。

CSOコメント:ポートフォリオのゲーミング比重は約25%へ

Keyvan Peymani氏がCNBCで語った内容のうち、業界に最も衝撃を与えたのは、Animocaのポートフォリオに占めるゲーミングの比重がすでに約25%まで縮小しているという数字だ。最盛期にGameFiセクターの最大スポンサーだった企業が、4分の3を別領域に振り分けている、という事実は重い。

これは単なる分散ではなく、配分の主軸そのものを動かしたことを意味する。Web3ベンチャー投資全体の配分が、ピーク62.5%から1桁台%へ縮小したというマクロ動向と、Animocaの社内ポートフォリオ動向は方向として一致している。

なぜAnimocaは「賭け先を間違えた」と認めたのか

筆者はAnimocaの動きを批判的には見ていない。むしろ最大の信者だった企業が、約3年で方向転換を完遂しつつあるという速度こそが特筆に値する。賭け先を間違えたと社内で認めて配分を切り替えるのは、上場・非上場問わず容易ではない。

日本企業のWeb3戦略部門が、こうした転換を1年で実行できるかというと、組織構造上かなり難しいのが現状だ。Animocaの動きは「Web3企業の経営判断のスピード感」のベンチマークとして、ASEAN・日本の事業会社双方から参照されることになるだろう。

ステーブルコインとRWA──資金が向かう先のシグナル

Animocaの2026年戦略は、業界全体に対する明確なシグナルとして機能する。ゲーミングに集中していたWeb3資金は、いま明らかにステーブルコイン決済とRWAトークン化に流れている。ASEAN・香港を中心とする規制整備の進展と、グローバル銀行の参入が同時に進んでいることが、この流れを下支えしている。

GameFiトークン個別への投資は、リスクリワード観点ですでに合いにくい局面に入った。一方で、決済・RWAという2つの軸は、伝統金融とWeb3が直接接続する領域であり、構造として一定の継続性が見込みやすい。Animocaのポートフォリオ動向は、こうした構造変化を最も鮮明に映し出している。


※本記事は情報提供を目的としたものであり、特定の暗号資産や投資商品の購入を推奨するものではありません。投資は自己責任で行ってください。

出典: CNBCインタビュー(Keyvan Peymani氏)、Animoca Brands公式発表(2025年8月/2026年5月)

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