Progmat、Avalanche L1上で1.6兆ドルのJGBレポ市場オンチェーン化へ──6月末本番稼働

三菱UFJ発の証券プラットフォームProgmatが、Avalanche L1上で日本国債(JGB)レポ市場をオンチェーン化する構想を打ち出した。20億ドル超のトークン化証券をAvalancheに移行する作業は6月末完了予定。さらに5月8日に立ち上げた新ワーキンググループでは、年間取引規模1.6兆ドルというJGBレポ市場までブロックチェーンに乗せる計画が示された。本稿では、この「日本発のオンチェーン金融」の規模感とAvalanche選定の背景を整理する。

ワーキンググループには40以上の組織が参画

Progmatが5月8日に立ち上げたJGB×オンチェーンレポWGには、BlackRock Japan、三菱UFJ、みずほ、4大法律事務所など40以上の組織が名を連ねる。日本の主要金融機関と国際的な機関投資家が一堂に会するWGは、国内のトークン化議論では過去最大規模に近い。

WGが対象に据えるJGBレポ市場は、世界中の機関投資家が日本国債を担保にした短期資金調達を行う巨大インフラだ。年間取引規模は1.6兆ドル。決済はT+1、稼働は平日9時〜15時に限られている。これを24/7・T+0に置き換えるのが今回の目論見だ。

Polygonが決済領域で築いた約7億ドル/年のラン・レートと比べると、JGBレポ市場のサイズは桁が2つ違う。「Web3が実物経済に届く」事例として、過去のどのトークン化プロジェクトとも規模感が異なる。

なぜEthereumではなくAvalancheが選ばれたか

Progmatは2024年までEthereum系のパブリック寄り設計を模索していたが、2026年に入って明確にAvalancheへ軸足を移している。理由として挙げられるのは、L1を「規制対応の専用ネットワーク」として切り出せる設計上の特性だ。

AvalancheのSubnet(現在のL1分離設計)は、参加者をKYCで絞り、独自のバリデータセットを持てる。JGBや証券のように「誰でも触れていい資産ではない」ものをトークン化する際に、この構造が効いてくる。Ethereumで同等の閉じた回廊を作るには独自L2を立てる必要があり、その分の開発・運用コストがかさむ。

もう一つの判断材料は前例だ。BlackRockは2025年にAvalanche上で約5億ドル規模のトークン化ファンドを稼働させている。Progmatの選定担当者にとっては、社内決裁を通す材料として「世界最大級の資産運用会社の前例がある」という事実は無視しにくい。閉じた運用でありながらパブリックチェーンの流動性とインフラを再利用できる構造は、現状Avalancheが持つ独自のポジションに近い。

国内ユーザーが押さえておくべき日付

機関投資家向けインフラの話に見えるが、国内の暗号資産ユーザーにも関係する論点がある。Progmatの本番稼働が6月末「予定」とされている点だ。延期の可能性は当然あるが、稼働すれば日本発のオンチェーン金融が初めて実体経済の決済領域に届くことになる。

国内取引所でAVAXを取り扱うのは限られた数社にとどまる。仮にAVAXのスポット取引を検討する場合、板の厚みで言えばbitFlyer、手数料無料で小口を積みたい層にはGMOコインが選択肢になる。ただし「6月末のProgmat本番稼働」というイベントを織り込んだ価格は、遅延報道で簡単に崩れる類のものだ。日付の決まったイベントに対しては、ポジションを取る前に「想定外」が起きた場合の出口を決めておくことが先決だ。

数年前まで「日本はWeb3で世界に出遅れている」という論調が支配的だった。Progmatの動きは、規制が”先にある”からこそ実現する金融インフラの設計、という側面を持つ。米国でスポットBTC ETFが「機関投資家の入口」を作ったのに対して、Progmatが作ろうとしているのは「実物経済の出口」だ。1.6兆ドルという数字を頭の片隅に置いておく価値はある。

出典: Progmat公表資料、WG参加組織リスト

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