Ethereum「Glamsterdam」ガス上限200M化案──10,000 TPSと78.6%ガス代カットを狙う次回ハードフォーク

Ethereumの次回ハードフォーク「Glamsterdam」が、開発者コミュニティの本丸議題として動き始めている。6月メインネット投入を当初ターゲットに掲げつつも、devnet状況からはQ3への後ろ倒しが現実味を帯びてきた。本稿では、Glamsterdamが実装しようとしているガス上限の3.33倍引き上げと、その裏で走る2本のEIPの仕組み、そして見えてきたタイムラインの実情を整理する。

ガス上限60M→200M、目標は10,000 TPSと78.6%のガス代カット

Glamsterdamの中核は、ブロックあたりガス上限を現行の60Mから200Mへ引き上げる設計だ。3.33倍の変化で、目標値は10,000 TPSと、ガス代の78.6%カットが掲げられている。

数字の見せ方として強烈だが、これは単純な「天井の引き上げ」ではない。並列処理の前提を作るための2本のEIPがセットになっている。EIP-7732(Enshrined Proposer-Builder Separation)とEIP-7928(Block-Level Access Lists、BALs)の2本立てだ。

特にBALsの仕組みが面白い。ブロックが事前に「どのアカウントを読み書きするか」を申告する。これでノードは衝突しないトランザクションを並列で処理できるようになる。バッチI/Oも揃って、ステートルート計算もパラレル化される。要するに、ガス上限を上げるだけでなく、上限を上げても詰まらない処理アーキテクチャを同時に入れている。

EIP-8037──地味だがステート爆発を抑える設計

地味ながら効くのがEIP-8037だ。新規ステート書き込みのコストを引き上げる方向の設計で、ガス上限を3倍以上にしても「ステート爆発」が起きないようにブレーキを噛ませている。

L1のステート肥大化は、過去数年、ノード運用コストを押し上げてきた主因のひとつだ。ガス上限の引き上げと、ステート増加を抑制するコスト調整がセットで提案されている点は、設計上の整合性として見ておきたいポイント。

タイムラインは6月ではなく、おそらくQ3後ろ倒し

当初のターゲットは6月メインネットだった。だが、Soldøgn Interop devnetは5月2日に終了したばかりで、開発者コミュニティでは「6月強行は厳しい」というトーンがここ2週間で支配的になってきた。

筆者の見立てでは、安全寄りに見て8月下旬から9月。それでも年内には間違いなく入る、というのが現時点でのリアリスティックなレンジだ。Ethereumの大型アップグレードは、Merge・Shanghai・Dencunの3回連続で「直前段階のテストネット検証で1〜2ヶ月延びる」パターンが定着している。Glamsterdamも同じ軌跡をなぞる可能性が高い。

Solana Alpenglowが作るL1スループット競争のプレッシャー

外部要因としては、SolanaのAlpenglowが5月13日にテストネット稼働を開始し、150msファイナリティを掲げたことが効いている。L1スループット競争は、Ethereumにとって「対抗のために何かを出す」フェーズではなく、「同じ土俵に並ぶ」設計を粛々と進めるフェーズに入った、と捉えるのが正確だ。

Glamsterdamの200M gas・10,000 TPSという数字は、Solanaのスループットに直接張り合うレベルではない。だがL1の処理能力レンジを一段引き上げ、L2やアプリ専用チェーンに流れていたユースケースが戻ってくる前提を作る、という意味では転換点になりうる。

まとめ──「6月」より「年内」を見ておくべき

Glamsterdamの実装スケジュールは、6月から後ろ倒しになる確度が高い。だが、ガス上限の3倍超の引き上げと並列処理EIPがセットでメインネット投入候補に乗ったという事実は、すでにEthereumエコシステムの前提を書き換え始めている。

devnet段階で発覚するバグや、コンセンサスの遅延は十分に起こりうる。それを踏まえても、L1の処理能力が3倍になるという目標がEthereum開発者の正式議題に乗っている事実は、今後の数ヶ月、価格・利用シーン・周辺チェーンの戦略すべてに影響していく。短期の価格動向よりも、年内のスケジュール推移を継続的にウォッチしておきたいテーマだ。

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