ブルーチップNFTの戻り相場と呼応するかたちで、CryptoPunksやBAYCを擁する Yuga Labs の経営体制が動いた。共同創業者の Greg Solano が CEO を退いて会長に、新CEOには Michael Figge が就任。Figgeは数か月前から Otherside の運営を統括しており、製品とコミュニティと「具体的な実行」に軸足を置く方針を明確にしている。本稿では今回の人事と、Figge発言の文脈を整理する。
経営陣交代の構図
Yuga Labs の体制変更は次のとおりだ。
- Greg Solano:CEO → 会長(Chairman)
- Michael Figge:新CEOに就任
Figgeはここ数か月、Yuga LabsのメタバースプロジェクトであるOthersideの運営を見ていた人物で、いきなり外から連れてきた職業経営者ではない。製品ラインの中核を見続けてきた内部昇格に近い構図で、これは「IPユニバース戦略を具体的に回す段階に入った」というシグナルとして読むのが素直だ。
Solanoは創業者として会長に残るかたちで、長期的なブランドビジョンと日常運営の責任分担を切り分けた格好になる。クリエイティブと実行を分ける、という、ある程度成熟したIPカンパニーで起きがちな体制移行だ。
Figgeの発言:「価格が、ホルダー参加の実態から切り離されすぎていた」
Figgeはコメントの中で、「NFTは売られすぎていた。価格が、ホルダー参加の実態から切り離されすぎていた」と述べている。
ここは経営者ポジショントークの色が濃いので、額面通りに受け取るのは危うい。新CEOが「自社プロダクトの市場価値は不当に低かった」と言うのは、ある意味では当然の発言だ。
ただし、ブルーチップに限れば、この発言の背景には実データの裏付けがある。価格が大きく下げた局面でも、ホルダー数の減少は価格下落ほどには進んでいない、という観察だ。つまり「持ち続けている人」の母数は意外と崩れていない。第一層のブルーチップに関しては、Figgeの発言は単なるポジショントークと切り捨てきれない部分がある。
なぜCEO交代がいま行われたのか
タイミングを見ると、ブルーチップNFTの戻り相場と完全に呼応している。5月10日時点で CryptoPunks のフロアは 7万3,200ドル、Pudgy Penguins は 9,500ドル → 1万2,900ドルへと水準を切り上げる地合いだ。
このタイミングで「製品とコミュニティ実行」を掲げるFiggeを置く意味は、明確に読み取れる。価格が戻ったから経営が変わったのではなく、「価格が戻ったいま、IPとして次の積み上げに移れるか」が問われている、という構図だ。NFTが「画像の所有権」ではなく「ブランド権利の所有権証明」として機能し始めるかどうかが、新体制下の Yuga Labs の試金石になる。
Otherside の動きが次の観測ポイント
新体制下で特に重要なのは Otherside の動向だ。Otherside は Yuga Labs が展開するメタバース/オンチェーンゲーム的なプロジェクトで、Figge はここの運営を見てきた立場でCEOに上がっている。ここが回り出すなら、ブルーチップの戻りは「過去資産の最後の煌めき」ではなく、「次のサイクルの序章」と呼べる可能性が出てくる。
逆に Otherside が止まったままなら、ブルーチップは「美術品市場」として静かに定着するだけ、と読むのが妥当だろう。CryptoPunks や BAYC が文化的アイコンとしての価格は維持するが、IPとしての成長は止まる、という展開だ。
国内ユーザーが Yuga Labs 系NFTに触れる場合
Yuga LabsのBAYC・MAYC・CryptoPunksなどに国内から触れる場合、国内取引所でETHを買い、自己管理ウォレットに送金し、OpenSeaやBlurで購入する3段階構成が現実的なルートになる。フロア価格は1万〜7万ドル超の水準であり、「投資」というより「ブランドコレクション」に近い性質を理解した上で動く必要がある。新体制下のOthersideの進捗が見えるまでは、急いで動く理由は薄い、というのが筆者の見方だ。
半年は様子を見る、というのが筆者のスタンス
経営陣交代と戻り相場が同時に来ているのは、偶然ではない。だからといって、その同時性だけで「Yuga Labsが第二章に入った」と断言するのは早い。Figgeの「売られすぎていた」発言は、データの裏付けがある部分とポジショントークの部分が混在している。
Otherside の進捗、ブルーチップのホルダー数推移、第二層(機能性NFT)の積み上がりが半年でどう動くか。少なくとも筆者は、半年は様子を見るつもりだ。それで判断単位を「Yuga Labs全社」から「Otherside単体」へ降ろせるだけの情報が揃うはずだ。
出典:Yuga Labs公式発表、CoinDesk
※本記事は情報提供を目的としたものであり、特定の暗号資産や投資商品の購入を推奨するものではありません。投資は自己責任で行ってください。過去の実績は将来の利益を保証するものではありません。記事内には広告(アフィリエイトリンク)を含む場合があります。
