RONインフレ20%超から1%未満へ──Ronin、パッシブステーキング廃止しProof of Distributionへ

2026年5月12日のEthereum L2移行に合わせて、Ronin Networkはトークン経済の根幹を組み直した。RONの年間インフレ率を20%超から1%未満へと20倍以上圧縮し、パッシブステーキング報酬を廃止する。マーケットプレイス手数料も0.5%から1.25%へ引き上げられ、収益はTreasury経由でビルダー側に再配分される。GameFiの「持っているだけで増える」モデルからの明確な決別だ。

年20%発行から1%未満へ──ドル建てよりも硬いゲームトークン

新Roninでは、RONの年間インフレ率が20%超から1%未満へと、20倍以上引き下げられる。年20%という従来の発行ペースは、保有者から見れば「持っているだけで毎年2割薄まる」状態に近く、長期保有のインセンティブを大きく毀損していた。

新Roninの説明では、この圧縮後のインフレ率はUSDのインフレ率(直近で2〜3%台)を下回るレベルになる。皮肉な言い方をすれば、米ドルよりも発行ペースが硬いゲームトークンが誕生したことになる。GameFiトークンの世界では、過去ほとんど例のないアグレッシブな引き締めだ。

「Proof of Distribution」でビルダー側に報酬が流れる

同時に、これまでの主要報酬源だったパッシブステーキングは廃止される。代わりに導入されるのが「Proof of Distribution」と呼ばれる新モデルだ。

このモデルでは、TVLやガス使用量など、ネットワークへの貢献度に応じて報酬がビルダー側に流れる設計になっている。「持っているだけで増えるRON」は終わり、「実際にネットワークで使われるRON」が報酬を生む構造へと切り替わる。

考え方自体はDeFiの文脈では珍しくないが、ゲームチェーンの基軸トークンでここまで踏み込んだ例は記憶にない。短期では保有者の不満が出やすい設計だが、ネットワーク価値とトークン価値を一致させようとする意図ははっきりしている。

マーケットプレイス手数料が2.5倍、Treasuryに集中

トークン経済と並んで、もう一段静かに大きな変更が入った。Roninマーケットプレイスのフィーが0.5%から1.25%へ、2.5倍に引き上げられる。さらに、新L2のシーケンサ収益の純利益分もTreasuryに入る設計だ。

これまでパッシブステーキング報酬として確保されていた約9,000万RONが、Treasury経由でエコシステム支援に再配分される。事実上、「ユーザーに薄く広く配るより、特定のビルダーに厚く配るほうがネットワーク価値を高められる」という賭けだと読み取れる。

実際、移行発表後のRON価格はジリ安が続いた。保有者の短期的な失望は避けられない設計変更だが、ゲームの「中身」に投資される資金が増えるという観点では、エコシステム全体にとっては合理性のある選択だ。

国内ユーザーが見ておきたい論点

国内投資家の視点では、含意は2つに整理できる。

ひとつは、RONをパッシブ報酬目的で保有するモデルが消えること。これまでの「ステーキング利回り狙い」の運用は、新Roninでは成立しない。代わりに、Roninエコシステムで実際に動くゲームやアプリのアクティビティが、トークン価値の主要ドライバーになる。

もうひとつは、ETH起点の動線がさらに重要になることだ。Ethereum L2上に再構築されたRoninでは、外部からの流入はETHを介すケースが圧倒的に多くなる。ETH現物を国内登録業者で押さえておく価値が、Ronin移行後の局面ではさらに増した。手数料無料運用なら GMOコイン、板の厚みと流動性なら bitFlyer といった選択肢が現実的な起点になる。

GameFiトークノミクスの「次の標準」になるか

今回のRoninの変更は、単なる1チェーンのアップデートを超えて、GameFiトークノミクス全体への問題提起になっている。高インフレ・パッシブステーキング・薄いユーザー報酬という「2021年型」モデルの問題点は、Axie Infinityのピーク以降、繰り返し指摘されてきた。

Roninは今回、その教訓を最も極端な形で制度に落とし込んだ。インフレ20倍圧縮、パッシブ廃止、Treasury集中──いずれも単独の論点ではなく、ひとつのトークン経済デザインとしてセットで動く。この設計が市場で受け入れられるかどうかは、今後数四半期のRON価格とネットワーク活動の推移で見えてくる。少なくとも、次にトークノミクス改革を出す主要ゲームチェーンは、Roninのこの設計を意識せざるを得ない状況になった。

出典: Ronin Network 公式アナウンス(2026年5月12日)

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