DEXを1つ触れれば「自販機型取引所」の感覚はわかる。だが2回目以降、「次はどのDEXを使うべきか」で迷う。Uniswapと同じことをすべてのDEXでやる必要はなく、用途別に使い分けるのが正解。
この記事では、2026年5月時点で実運用に値する主要5DEXを、用途別に整理する。「ステーブルコイン両替で最安はどこか」「新規トークンを最速で買えるのはどこか」――こうした問いに答えられるようになる。
5DEX 比較表(2026年5月時点)
| DEX名 | チェーン | 累計取引高 | 手数料 | 強み |
|---|---|---|---|---|
| Uniswap | Ethereum / L2全般 | 約2兆ドル | 0.05〜1% | 流動性最深・全銘柄対応 |
| PancakeSwap | BNB Chain | 約8,000億ドル | 0.25% | 低ガス代 |
| Curve | Ethereum / L2 | 約2,000億ドル | 0.04% | ステーブル両替最安 |
| dYdX | Cosmos(v4) | 約1兆ドル(永続先物含む) | 0.05% | 先物・レバレッジ |
| Jupiter | Solana | 約4,000億ドル | 0.05〜0.5% | 複数DEX束ねる |
数字はDefiLlama・各DEX公式の2026年5月データ参照。
1. Uniswap ―― 「迷ったらここ」
最大規模・最深流動性。Ethereumメインネット・Arbitrum・Optimism・Base・Polygon等、主要全L2に展開済み。
特徴:
– 新規トークンが最初に上場する場(=最新トレンドを掴むなら必須)
– 手数料は0.05〜1%でプールごとに異なる(主要ペアは0.05%)
– Uniswap V4(2026年1月リリース)でカスタムフック対応 → 板取引・限価注文・MEV保護等も実装可能に
弱み:
– メインネット利用時のガス代が高い(1取引10〜30ドル相当)
– 初心者向けUIに見えるが、Slippageの仕組み等を理解しないと損する
実機ガイドはUniswapとは?始め方・使い方完全ガイド参照。
2. PancakeSwap ―― 「ガス代が安いUniswap」
BNB Chain(旧Binance Smart Chain)最大手。Uniswapのコピー型でスタートしたが、独自にカジノ・宝くじ・NFTマーケット等を追加した「総合DeFiプラットフォーム」。
特徴:
– ガス代が0.10〜0.50ドル(Ethereumメインネットの100分の1)
– CAKEトークンでステーキング・ガバナンス
– BNB上の人気トークン(BNB自体、CAKE、各種ミームコイン)の流動性が深い
弱み:
– BNB ChainはBinance傘下で、完全な「分散」とは言いがたい
– Ethereum系トークンを買うにはまずブリッジが必要
初心者がBNB Chainに移るなら、0.01 BNB(約500円)をガス代用に準備すれば数十回取引可能。
3. Curve ―― 「ステーブルコイン両替の絶対王者」
USDC↔USDT↔DAI↔FRAX等、価値がほぼ同じトークン同士の両替に特化。スリッページが0.01%以下と圧倒的に低い。
特徴:
– 手数料0.04%(Uniswapの10分の1)
– 大口取引(数十万ドル超)でもスリッページがほぼ発生しない
– veCRV(ロックトークン)でガバナンス強化、Curve War と呼ばれる激しいトークン獲得競争で有名
使い分け:
– ETH↔USDC等の「価値の違うトークン」→ Uniswap
– USDC↔USDT等の「価値の同じステーブル」→ Curve
ステーブルコイン比較で書いたとおり、ステーブル間でも微妙にレートが違うので、Curveでチェックする習慣が大口取引者には必須。
4. dYdX ―― 「DEX上の先物取引所」
永続先物(Perpetual Futures)に特化。レバレッジ最大20倍、24時間取引可能。
特徴:
– 現物スワップではなく、先物契約を売買
– オーダーブック方式(AMMではない)
– CosmosベースのChain v4(2023年〜)で独自チェーン化
– 取引手数料: メイカー-0.011%(リベート) / テイカー0.05%
向き不向き:
– 適応: 価格変動を取りに行く中上級者
– 不適応: 「現物で長期保有」目的の初心者
注意: 先物は損失が元本超過する可能性がある。日本では税制上「雑所得」扱いで、損失通算もできない。仮想通貨の税金で詳しく書いた。
5. Jupiter ―― 「Solana上の最強アグリゲーター」
Solanaチェーンで最大シェア。複数のSolana DEX(Orca・Raydium・Saber等)を束ねて、最も有利なレートを自動で見つける。
特徴:
– 手数料0.05%程度 + Solanaのガス代(0.01ドル未満)
– 取引が秒で完了(Solanaのブロック生成が0.4秒)
– Limit Order(限価注文)・DCA(積立)機能内蔵
向き:
– 取引頻度が高い(月10回以上)
– Solana上の銘柄(SOL、BONK、WIF等)を扱う
弱み:
– Solanaチェーンは過去にダウンタイム(2022年2回、2023年1回)あり
– セキュリティ面でEthereumよりやや劣る
用途別「どれを使うべきか」フローチャート
何をしたい?
├─ ETH↔USDC等のメイン銘柄スワップ
│ └─ Uniswap(L2推奨)
├─ ステーブル間両替(USDC↔USDT等)
│ └─ Curve
├─ ガス代をとにかく安く
│ ├─ BNB Chainでいい → PancakeSwap
│ └─ Solanaチェーン → Jupiter
├─ 先物・レバレッジ取引
│ └─ dYdX
└─ 新規トークン即時購入
└─ Uniswap or PancakeSwap(該当チェーンで)
初心者向けの「最初の3DEX」
5つ全部を最初から触る必要はない。順序立てて:
- Uniswap(Arbitrum): まずDEX体験の基本。Layer 2でガス代を抑えながら(月1回でいい)
- Curve(Arbitrum): 半年後、ステーブル両替の必要が出てきた時に
- Jupiter(Solana): 1年後、Solanaチェーンに興味が出たら
PancakeSwapとdYdXは特定の目的(BNB銘柄/先物)が明確になってから触る。最初から手を広げると、ガス代だけで万単位の損失が出かねない。
5DEX 触る前の必須準備
- 国内取引所口座: ETH/USDCを買う場所。Coincheck(初心者向け)or GMOコイン(送金無料で長期有利)
- MetaMask(Ethereum/L2用) + Phantom(Solana用)
- 資金の分散: 1つのウォレットに10万円超は危険。複数ウォレットで管理を
ウォレット選定はハードウェアウォレットとは?で書いた。
DEXのリスク全般
DEXのリスクと注意点で詳しく扱うが、最低限:
- 詐欺トークン(Uniswap・PancakeSwapで蔓延)
- MEV攻撃(スリッページ高設定で被害)
- インパーマネントロス(LPする場合)
- スマートコントラクトのバグ
特に、ローンチ直後のトークンは99%詐欺と思って良い。「LP抜き(rug pull)」と呼ばれる典型的詐欺パターンがある。
まとめ:5DEXは「役割分担」している
5つのDEXは、競合というよりそれぞれ異なる役割を担っている。スーパーで野菜・肉・調味料を別の売り場で買うように、DEXも目的別に使い分けるのが正解。
初心者がまず触るべきはUniswap(Arbitrum)1つで十分。半年使い込んでから、必要に応じて他のDEXを加えていく。これが学習コストとリスクのバランスが最も良い順序だと、私は思う。
実機ガイドはUniswapとは?始め方・使い方完全ガイド、リスク把握はDEXのリスクと注意点を合わせて読んでみてほしい。
※本記事は情報提供を目的としたものであり、特定の暗号資産や投資商品の購入を推奨するものではありません。投資は自己責任で行ってください。過去の実績は将来の利益を保証するものではありません。

