リード
SOLが「壊れている」のか「待っている」のかを判定するのは、けっこう難しい。2026年5月の月足が確定し、SOLは上場以来はじめて月足陰線8連続を記録した。価格は81近辺、市場時価総額のピーク(120B超)からは約$78Bが消えた。なのに、DeFi TVLと処理トランザクション数はほとんど崩れていない。
何が起きたか(事実)
複数集計でほぼ揃っている数字を並べておく。
- 月足陰線: 2025年10月〜2026年5月の8か月連続でSOLは月足陰線でクローズ
- 価格: 2025年10月のピーク約220〜230から、2026年6月1日時点で約$81に
- 市場時価総額: ピーク120B超 → 直近約42B水準(約65%減)
- DeFi TVL: $5.4B(2026年6月1日時点、DefiLlama他)
- 24h処理トランザクション数: 75.71M(同日)
- 24h日次アクティブアドレス: 約1.64M
「8連続陰線」というのは、SOLが2020年に上場してからの月足チャートを通しても1度もなかったパターンだ。直近2年で見ても、最長は4〜5連続だった。
ここがポイント:価格とオンチェーンの乖離
普通、価格が約65%下落する銘柄は、ネットワーク利用も同時に縮む。
ところがSOLは違う動きをしている。TVLは2026年Q1に過去最高(5B超)を更新したあとも5B台を維持。日次トランザクション数は、ピーク時の処理量を1日ベースで上回る日が今も普通に出ている。日次アクティブアドレスもmemecoin狂想曲が一段落した2025年後半から底堅く推移している。
この「価格は8か月削られ続けているのに、ネットワーク使用量はむしろ史上最高圏」という乖離は、過去のチェーン史を振り返ってもかなり珍しい。私はこれを、2022年〜2023年初頭のETH(マージ前後)に近い構造と見ている。価格は下げていたが、L2合計のアクティビティはじわじわ伸び続けていた、あの時期だ。
数字で見る「8連続」の重さ
月足8連続陰線というのは、暗号資産だけでなく株式・コモディティ市場全体で見ても珍しい。
- 米国S&P500の月足8連続陰線は1929年以降ごく数回のみ
- 金(Gold)の月足8連続陰線は1980年代後半に1回
- BTCの月足連続陰線は最長5回(2014〜2015年)
つまりSOLが今描いているのは、暗号資産単体で見ても「観測史上、自分自身の最長記録」を毎月更新中ということになる。これだけでショート目線のテクニカル派が湧いてくる一方、コントラリアン(逆張り)側のシグナルとしても無視できない長さに入った。
過去の他資産での8連続陰線後の挙動を見ると、9か月目で陽転して反発が始まる確率は7割前後。ただ、その「反発」が単月の戻り高値で終わったケースと、トレンド転換の起点になったケースが概ね半々だ。
なぜ重要か(含意)
第一に、SOLの今回のドローダウンは「ファンダ崩壊型」ではない。DeFi TVLが$5B台を保ち、Alpenglow関連のテストネット稼働も予定どおりに進んでいる。つまり、価格の調整は「2024年末〜2025年Q3に積み上がった期待プレミアムの剥落」が主であり、ネットワーク需要そのものではない。
第二に、ETF期待が一巡したことの影響が大きい。SOL現物ETFはすでに複数申請されているが、承認時期が読みにくく、SECとCFTCの3月共同ガイダンスで「コモディティ枠」が広がった後も、SOLは「次の番」の位置で待たされ続けている。今のSOLは、その「待たされ続けている」コストを価格で支払っている状態に近い。
第三に、機関のBTC ETF撤退と時期が重なっている。直近のBTC現物ETF 11日連続流出を見れば分かるように、機関は今、暗号資産全体で「重さの落ちる売り」を進めている。BTCですら売られる局面で、SOLが先に底打ちすると見るのは現実的ではない。BTCの売りが収束してから、ようやくアルトコインの底打ちが議論されるはずだ。
個人投資家への含意
3つに整理する。
まず短期トレード視点では、月足8連続陰線という「テクニカル極値」に乗ってショートを増やすのは、リスクリワードが悪い局面に入っている。9か月目の陽転確率と、節目$80のサポートが効くかどうかは、ローソク足の最後の1週間で読みに行きたい。
次に中期(3〜6か月)では、SOLは「価格は弱いが使われ続けている」典型例なので、ドルコスト平均で買い下がる候補に挙げる人が増えやすい。ただし、平均取得単価を下げにいくよりも、ポジションサイズの上限を先に決めておくほうが安全だ。
最後に、買い場として国内取引所でSOLを拾うなら、現物コストの低さで言えばbitbank、SOLを含むエコシステム全体(NFTやWeb3アプリ)への入口として使いたいならCoincheckが現実的だ。アプリの操作感と取扱銘柄数のバランスで、初心者層には後者の方が触りやすい。
私の見立て
8連続陰線を「終わりの始まり」と読むか、「終わりの終わり」と読むかは、最終的にはあと2〜3か月の月足を見ないと判定できない。
私の現時点での立場は、SOLはここから半年以内に「価格と使用量の乖離」が修復される確率が高い、ただし修復の方向は「価格が上がる」ではなく「使用量がいったん減速して水準合わせをする」可能性もある、というやや慎重な見方だ。フェアバリュー論で言えば、TVLとDAUを掛け合わせた指標で見ると現在のSOLは過小評価ゾーンに入っているが、暗号資産では過小評価が半年〜1年続くことは普通にある。
注目すべきは、ストリークの終わり方、Alpenglowテストネットの実稼働指標、そしてBTC ETFフローの転換タイミング。この3点が揃ったとき、SOLの月足は9か月目で初めて意味のある転換を見せる可能性がある。
※本記事は情報提供を目的としたものであり、特定の暗号資産や投資商品の購入を推奨するものではありません。投資は自己責任で行ってください。過去の実績は将来の利益を保証するものではありません。

